映画デッドプール(ネタバレ含む)

f:id:natutoyuuki:20160601230108j:plain:h270:leftデッドプールを見た。不満が残る映画だったので、その忘備録。


・一通りの内容は以下のリンク参照。ストーリーが全部書いてあるので未見の方は注意。
デッドプール (映画) - Wikipedia


・OPのクレジット、監督や脚本家を給料泥棒やなんやと毒舌的にいじっている。まず、それ誰の目線からその発言?という問題。順当に考えればデッドプールからみての毒舌。ただ、クレジットのフォントも自由に書き出す能力を持っているんであれば、その特性を本編中でも使えるだろう。でも、しないという事はスタッフ内の悪ノリなのかと思ってしまう。


・それから過去編長すぎ。デッドプールではなくウェイド・ウィルソンに尺を割きすぎ。湿っぽい。回想時の時間を早送り、巻き戻しさせることができるのであれば、そこの冗長な部分を飛ばせばいい。作劇上どうしても入れなければならない部分なら、過去編長すぎでごめん、と言わせればいい。


・一体俺は何と戦っているのかと思うが、良いところもあった。アンチヒーローなので、悪役に対し、手心を加えずにサクッと止めをさせるのでストレスが溜まらない。エイジャックスとの決戦時はそこを逆手にとった一ネタも面白かった。アクションシーンも横に飛ぶ際に若干クルクルするのが多い気がするけど、無敵感を感じさせてくれる。


・あと、第四の壁突破してスクリーンからデッドプールが観客に語り掛けているときの奇妙な感覚はかなり楽しかった。


・ストーリーをまとめると、やさぐれていた過去があり、そこに光を照らしてくれた女性がいて、彼女を守るために陰ながら戦い、結末は彼女とのキスでハッピーエンド。なんだこのピュアなラブストーリー要素の入ったアクション映画。


・想像するに第四の壁突破というメタ認知をキャラ特性にすると、作劇がとても難しくなるんじゃないだろうか。


・上にも、余計なところは早送りにすればよい、と書いたけど、劇中のキャラクターにそれを行わせるという事は、つまり、余計なところを製作者が認識して、観客の不満に対し先回りして回避、もしくは解決、カタルシスの提供を行わなければならない。そこに発生する障壁は予算、製作時間、出演者、配給会社との交渉、その他諸々、考えただけでも気が滅入ってくるのだけど。


デッドプールというキャラクターは奔放な性格をブーストするように上部構造の認識ができるという設定をまとわせている。ここで生まれる観客から求められる印象は「ありとあらゆるしがらみからの自由さ」じゃないのか。


・この映画、デッドプールのキャラクターとしての魅力以外、全て凡庸に感じてしまう。デッドプールを取り巻くすべての存在が彼を持て余している。先のストーリーの不満をはじめとして、敵味方含めたキャラクターもいまいちパンチの足りなさ、難しかったとはいえ、素材を生かしきれなかった製作スタッフ、これらが足を引っ張り「自由」とは真逆の「不自由」な感覚を抱いてしまう。


・以前こんな記事を書いた
bustuyoku.hatenablog.com
その中で「次に何が起こるかわからないから楽しい」と褒めていたと思う。


・正直に言うと、その後に「でもなんか、予想以上にパッとしない話」と書きたかったのだけど、そう発言することをはばかられる雰囲気がデッドプールにあったからやめておいた。その原因は、このキャラクターに対して「面白くなりそう」という魅力、期待値の高さがあるからなのだと思う。その魅力はこの映画を見終わった今も損なわれていない。


・今思うと、映画と比べれば、コミックの方は展開がかなり荒唐無稽でまとまった良い内容だと思う。もう少し爆発力が欲しかったけど。


・「設定と物語のあらすじだけ読むのが一番面白いキャラクターデッドプール*1」の印象を裏切って欲しかった。

・映画の方は次回作が決定しているらしいので映画シヴィルウォーみたいに高いレベルで色んな要素がまとまったデッドプールを見たい。