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シド・ミード-MEAD GUNDAM(本) 実用書としても読める画集

1999年に放送されたアニメーション「∀ガンダム」。そのメインメカデザイナーシド・ミードサンライズのスタッフの同作品におけるやり取りや、ラフスケッチが多数掲載された「MEAD GUNDAM」を読んだ。f:id:natutoyuuki:20160905222012j:plain:right:w350

当初はこのアニメに登場するターンX(画像)というメカの設定やデザイン画を見たかったから、というのが購入の目的で絵と文章が9:1位の割合で考えていた。ところが、ページを開いてみると、往復書簡というか文章でのやり取りが思った以上に本の中を占めている。それも四角四面ではなく、困惑や怒り呆れの感情が滲み出る中でもお互いの仕事を尊重し合わなければならない、ある意味頭と胸がキリキリするやつ。

途中まで出来上がっていた主人公メカのデザインを0から作り直してほしいとお願いする富野監督の相手のプライドをおもんばかる依頼文。そして富野監督のうかつな発言*1により激怒させてしまったシド・ミードサイドとの窓口をしていたサンライズ堀口滋さんの心中。スリリング過ぎて夜中に読んでいたら、悪い意味で興奮して眠れなくなってしまった。特に富野監督の依頼書は一読の価値がある。意に沿わない事へのオブラートの包みかた、相手に不信を抱かせない(と気を使っていると理解させる)話の運び方、ビジネス書に例文として載せても遜色がないレベルで良いお願いの仕方に感じた。

帯にも「モビルスーツ設計ドキュメント」と書いてある通り、この本は上記の様なドキュメント本としての側面が強い。アニメーターサイドのアニメとして動かす際の広い意味での派手さ、バンダイサイドの玩具としてのキャラクター性、そして工業デザイナーシド・ミードの関わる意味。そういった立場と思惑がドロドロ混ざり合い、そして理屈と妥協を以て1つの形になる。恐らく文中では語られなかった苦労も多くあったと思う。

∀ガンダムと言う作品は、奇妙ないでたちと世界観のせいなのかソフトの売り上げ、玩具の売り上げは振るわなかったらしい。だけど、なぜかこのガンダムのプラプラモデル、マスターグレード*2100番目のマイルスストーンとして発売された。この本を読んでいると、賛否のわかれる作品ながらこの決断を下したのは、ファンの為というよりも、バンダイからの関わったスタッフへの最大限のねぎらいの意味が強かったのではないか、という気持ちになる。

*1:後に誤解だと判明する

*2:プラモデルの種類。HG(ハイグレード)、MG(マスターグレード)、PG(パーフェクトグレード)、RG(リアルグレード)等と分かれる。