いつか欲しい(10)上出惠悟 九谷焼窯元 上出長右衛門窯 甘蕉（バナナ）

読んで字の如く、九谷焼のバナナ。

造形やヘタ、そしてシュガースポットの部分の茶色さが嫌にリアル。かと思えば、磁器の素地を生かすためなのか、あえてバナナの黄色ではなく白色をメインの色にしてあったり、バナナシールの部分が「THE九谷焼の絵付け」があしらわれていたりする。

この九谷焼バナナを見ていると現実なのか作り物なのか、可愛いのか高級な物なのかという区別があいまいになって不思議な感覚にトリップさせてくれる。実際はどうなのか知らないけど、作者の上出惠悟さんの遊び心と窯元としての矜持のせめぎ合いも感じる。自分はこういう、立派な大人が技術の粋を尽くして遊び切った物体がたまらなく好きだ。

この方の上出長右衛門窯のサイトを見てみると面白い焼き物がたくさんあって、例えばミッキーマウスの絵付けの皿(Disney日本生活)があったりする。勝手なイメージだけど、自分の思い通りに焼きあがらなかった物は「違う違う！俺の創りたかったものはこんな物じゃないんだ！」と言いながらバナナとかミッキーマウスの奴を地面に叩きつけて割り捨てたりしてるんだろうか。

(画像引用元:制約を飛び越えろ 九谷焼窯元 上出長右衛門窯 上出恵悟:Human Recipe:popress:北陸中日新聞から:中日新聞(CHUNICHI Web)）