金曜ロードショー 風立ちぬ 2回目
堀越二郎の半生を描いたジブリアニメ。放送後ツイッターを見ていると「美しいものにしか興味を持てないのがこの映画の主人公」とあって腑に落ちると同時に、恐ろしくも感じた。
一見、奥さんとのなれそめから別離はラブストーリーとして切なく美しく見える。が、二郎の元を離れたのは、そういった性格をわかっていたから。愛している男から嫌われないために、醜くなっていく自分を目に触れさせないために、という悲しい決断だと思うととてつもなく残酷な物語に変貌する。
そんなことを思っていたら下のリンク先に全部書いてあった。
『風立ちぬ』を見て驚いたこと - sombrero-records.note
ここを読んでピラミッドの下りがなんのことか、ようやくわかった気がする。絶対の権力者、実力者、天才が下の人間を搾取しつつ美しい物を作ることの是非の事だったのか。
自分が最下層側の人間というのは理解はしているので、そんな世界で生きていたくないと思いつつも、目に見える物、手に触れられるものについては中央集権的というか一人の人間のエゴで完成させてもらいたいとも思う。
それにしても、この薄皮一枚の向こう側にエグイ世界が潜んでいる、「崖の上のポニョ」にも見られる芸風、嫌いじゃない。
ヨルク・シュマイサー 終わりなき旅
世界を旅した版画家、ヨルク・シュマイサーの回顧展に展示された作品図録。楽天のポイントキャンペンがあったのでせっかくだからという事で購入。アマゾンのレビューにもあったけど1ページ2枚構成がかなりあるのでもっと大きく見せてもらいたかった。
日本を含めた条件のものを多く持ち船を使っているのでオリエンタルな雰囲気を感じられる作品が多い(もちろんそうでないのも多くあるか)
緻密でありながら空白があり、博物図譜のような写実でありつつ、どこか抽象的。普通なら1つにならないものをコラージュ的に配置しながら唯一無二な世界観を掘り出している。
個人的にはこの人の日記といわれるシリーズに多く見られる、独特のフォントが気に入っている。遠目から見ると糸くずがモジャっとなっていて、A型の自分としては気持ち悪い事この上ない。ただ、よく見ると縦横無尽に飛び跳ねる子犬のような賑やかさで可愛くお洒落に見えてくる。そういう意味でも、もっと大きく作品を掲載してもらいたかったと思う。